温泉とは
温泉の効能
泉質と適応症

 

温泉とは・・・・・

 温泉法(昭和23年制定)によれば,「温泉とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で,下に掲げる温度又は物質を有するものをいう。」と定義される。
 つまり,25度以上であれば,ただのお湯であっても温泉だし,下の表の物質19種類の内,1つでも含有していれば温泉と言うことになる。驚くほど緩やかな「温泉法」の定義と言えよう。

1.温度(温泉源から採取されるときの温度とする。):摂氏25度以上
2.物質(下に掲げるもののうち、いづれか一つ)
物       質       名 含有量(1kg中)
溶存物質(ガス性のものを除く) 総量:1000mg以上
遊離炭酸(CO2) 250mg以上
リチウムイオン(Li+ 1mg以上
ストロンチウムイオン(Sr2+ 10mg以上
バリウムイオン(Ba2+ 5mg以上
フェロ又はフェリイオン(Fe2+,Fe3+ 10mg以上
第1マンガンイオン(Mn2+ 10mg以上
水素イオン(H+ 1mg以上
臭素イオン(Br- 5mg以上
沃素イオン(I- 1mg以上
ふっ素イオン(F- 2mg以上
ヒドロひ酸イオン(HAsO42- 1.3mg以上
メタ亜ひ酸(HAsO2) 1mg
総硫黄(S)[HS- + S2O32- + H2Sに対応するもの] 1mg以上
メタほう酸(HBO2) 5mg以上
メタけい酸(H2SiO3) 50mg以上
重炭酸そうだ(NaHCO3) 340mg以上
ラドン(Rn) 20×10-10キュリー単位以上
ラヂウム塩(Raとして) 10-8mg以上

温泉の効能・・・・・

 温泉の効能は,次に掲げる作用が単独に,あるいは相乗に作用して人体に影響を与えるとされる。但し,この効能は即効性があるものではなく,ある程度の日数を続けて入浴する必要がある。湯治は,「1週間で湯疲れが出て,2週間で効果が出る」と言われ,療養目的で出かけるなら, 少なくとも2週間の滞在が必要であり,即効性は期待出来ないと考えるべきである。長期休暇が例外である日本の働き盛り世代では,とてもとても・・・。
 温泉の効能・効果は、ひとつひとつの作用よりも,さまざまな作用が補完しあった総合的な作用によるところが大きいと考えられている。

化学的作用 温泉に含まれる化学成分が,皮膚に付着・皮膚から吸収・ガス成分が肺から吸収・飲用により体内に吸収されることにより生じる作用。泉質によって異なり,詳しくは泉質と適応症を参照。
温熱作用

温泉の熱による作用。
高温(42度以上)の熱い湯は,新陳代謝を活発にさせる。但し,高齢者や血圧の高い人は注意を要する。
微温(36〜38度)の体温に近い温めの湯は,神経等を沈静化し,ゆったりとした気分にさせる。

水圧・浮力の物理的作用 水の抵抗のある水中での運動は効果的であり,水圧により心臓の働きが良くなる。
精神的作用 美しい景観などを見ること,日常から離れることによる開放感・リラックスによる作用。

泉質と適応症・・・・・

 泉質名については,以前は,石膏泉・芒硝泉・緑礬泉どと表示していたが,昭和54年以降,化学成分をそのまま記す温泉名に変わっている。伝統ある旅館などでは,まだまだ古い泉質名を使っているところが残っている。そちらの方が味わい深いと感じるのだが。

 適応症と禁忌症については,泉質によって異なるが,温泉(浴用)における一般的なものについては次の通り。

一般的適応症 神経痛,筋肉痛,関節痛,五十肩,運動麻痺,関節のこわばり,うちみ,くじき,慢性消化器病,痔疾,冷え症,病後回復期,疲労回復,健康増進
一般的禁忌症 急性疾患(特に熱のある場合),活動性の結核,悪性腫瘍,重い心臓病,呼吸不全,腎不全,出血性疾患,高度の貧血,その他一般に病勢進行中の疾患,妊娠中(とくに初期と末期)

1.塩類泉

 溶存物質量が,温泉1Kg中に1g以上含まれるもの。陰イオンの主成分により,次のように分類される。

泉  質 特          徴

適 用 症

禁 忌 症

浴 用 飲 用 浴 用 飲 用
塩化物泉
(食塩泉)
塩素イオンが主成分。陽イオンの主成分がナトリウムイオンなら,ナトリウム-塩化物泉(食塩泉)とされる。
塩分が皮膚からの汗の蒸発を防ぐことから,保温効果が高く,神経痛,リウマチ,冷え性、手足のしびれなどに良い。
「熱の湯」などと呼ばれることが多い。
静岡県熱海温泉など,日本全国に数多く存在する。
きりきず・やけど・慢性皮膚病・虚弱児童・慢性婦人病 慢性消化器病(胃腸病,肝臓病)・慢性便秘   肝臓病・高血圧症・その他一般にむくみのあるもの,甲状腺機能亢進症のときはヨウ素を含む温泉を禁忌
炭酸水素塩泉
(重炭酸土類泉・重曹泉)
陰イオンの主成分が炭酸水素イオン。陽イオンの主成分がナトリウムイオンでなら,ナトリウム-炭酸水素塩泉(重曹泉)とされる。
皮膚の脂肪や分泌物を清浄化するため,肌が滑らかになり,「美人の湯」と呼ばれることが多い。
飲用すると,沈静作用がある。
長野県小谷温泉,和歌山県川湯温泉など。
きりきず・やけど・慢性皮膚病 慢性消化器病(慢性胃炎、肥満)・糖尿病・痛風・肝臓病(胆石)   ナトリウム−炭酸水素塩泉は塩化物泉に準ずる
硫酸塩泉
(芒硝泉・石膏泉・正苦味泉)
陰イオンの主成分が硫酸イオン。陽イオンの主成分がナトリウムなら,ナトリウム-硫酸塩泉(芒硝泉),カルシウムなら,カルシウム-硫酸塩泉(石膏泉)とされる。マグネシウムなら,マグネシウム-硫酸塩泉(正苦味泉)とされる。
きりきず・やけどに効果があるとされるため,「きずの湯」などと呼ばれることが多い。
効能として,特には...
(芒硝泉):飲用すると胆道疾患(胆汁の分泌促進)、慢性便秘、肥満症
(石膏泉):-慢性関節リウマチや打ち身(鎮静作用)
(正苦味泉):-高血圧
群馬県法師温泉など。
動脈硬化症・きりきず・やけど・慢性皮膚病 慢性胆嚢炎・胆石症・慢性便秘・肥満症・糖尿病・痛風   下痢のとき,ナトリウム-硫酸塩泉は同上

2.単純温泉

 溶存物質量が,温泉1Kg中に1g未満で,泉温が25度以上のもの。陰イオンの主成分により,次のように分類される。

泉  質 特          徴

適 用 症

禁 忌 症

浴 用 飲 用 浴 用 飲 用
単純温泉 特にpH8.5以上の単純温泉をアルカリ性単純泉(又はアルカリ性単純温泉)とされる。
含有成分が薄い分,身体への刺激が少ない。そのため禁忌症も少なく,肌の弱い人や高齢者等に向いている。
日本全国に見られる泉質である。
       

3.特殊成分を含む療養泉

 溶存物質量が,温泉1Kg中に1g未満で,泉温が25度以上のもの。陰イオンの主成分により,次のように分類される。

泉  質 特          徴

適 用 症

禁 忌 症

浴 用 飲 用 浴 用 飲 用
二酸化炭素泉
(単純炭酸泉)
温泉水1Kg中に遊離炭酸1g以上含まれる温泉。身体に炭酸の泡が付着し,保温効果も高い。飲用では炭酸の爽やかな喉越しがあり,胃腸を刺激し消化を促進。鎮静作用もある。日本では比較的少ない泉質である。
大分県長湯温泉,山形県肘折温泉など。
高血圧症・動脈硬化症・きりきず・やけど 慢性消化器病・慢性便秘   下痢のとき
含鉄泉
(鉄泉・炭酸鉄泉・緑礬泉)
総鉄イオン(Fe2++Fe3+)が温泉水1Kg中に20mg以上含まれる温泉。湧出直後は無色透明で,時間の経過とともに酸化して茶かっ色に変化する。
保温効果が高く,リウマチ,更年期障害,貧血症に良い。
兵庫県有馬温泉など。
月経障害 貧血    
含銅-鉄泉   同上 同上    
硫黄泉 総硫黄が温泉水1Kg中に2mg以上含まれる温泉。硫黄が主として遊離硫化水素の型で含まれるもの(硫化水素泉)と含まれないもの(硫黄泉)に区別される。
卵の腐ったような特有の臭いは,硫化水素の臭いであり,酸化されると黄白色のイオウの沈殿を生ずる。刺激が強いことがあるので,肌が弱い人や高齢者等は注意。
細小動脈や毛細血管を拡張する。効能は高い。
栃木県日光湯本温泉,神奈川県小涌谷温泉など。
慢性皮膚病・慢性婦人病・きりきず・糖尿病
(硫化水素型)
・高血圧症・動脈硬化症
糖尿病・痛風・便秘 皮膚、粘膜の過敏な人,光線過敏症の人
(硫化水素型)
・高齢者の皮膚乾燥症
下痢のとき
酸性泉
(単純酸性泉)
水素イオンが温泉水1Kg中に1mg以上含まれる温泉。外国の温泉には少ないが,日本では多く,強い酸性を示す。
殺菌効果があり,婦人病,皮膚疾患,慢性関節炎に良い。
群馬県草津温泉など。
慢性皮膚病 慢性消化器病 同上  
含アルミニウム泉
(含明礬泉・含緑礬泉)
温泉水1kg中に含有成分が1g以上で、陰イオンとして硫酸イオン,陽イオンとしてアルミニウムを主成分とする温泉。
群馬県万座温泉など。
同上 同上    
放射能泉 温泉水1Kg中にラドンを20(百億分の1キュリー単位)以上含有している温泉。痛風、排尿を促進(尿道炎、糖尿病)
鳥取県三朝温泉など。
痛風・動脈硬化症・高血圧症・慢性胆嚢炎・胆石症・慢性皮膚病・慢性婦人病 痛風・慢性消化器病・慢性胆嚢炎・胆石症・神経痛・筋肉痛・関節痛